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2024年3月15日

相場の見立て・展望(3月15日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
日銀の植田和男総裁は3月13日の参院予算委員会で、マイナス金利解除などの政策判断について「現在本格化している春季労使交渉(春闘)の動向は大きなポイント」と発言しました。そして、3月13日に集中回答日を迎えた2024年春闘で大幅な賃上げ回答が相次ぎました。このため、日銀が3月18、19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利を解除する公算が大きくなりました。また、この会合では、マイナス金利政策の解除のみならず、「イールドカーブコントロール(YCC)」の撤廃若しくは見直しや、2010年以来続けてきたETFの新規買い入れの完全停止なども検討する見通しです。

ちなみに、3月11日のTOPIXの前場終値が、市場が日銀のETF買い出動の目安とみていた2%以上の下落となりましたが、ETF購入が見送られました。日経平均が一時4万円台に乗せるなど、日本株が史上最高値圏で推移する中、リスクプレミアムを抑える目的で、日銀がETF買いで、株式相場を支える必要性は乏しくなっています。このため、ETF新規買い入れの完全停止は、市場の自律性が回復するという観点から、ポジティブ材料と考えています。なお、ETFを巡っては、内田真一副総裁は、2月8日の奈良県での講演で、JーREITも含め「大規模緩和を修正する時にはこの買い入れもやめるのが自然だ」と発言しました。ただし、その一方で、「(既に保有している分の扱いは別問題だとし)非常に大きな規模なので、時間をかけて検討していく必要がある」と述べていました。

日経平均については、年初からの上昇トレンドは、3月7日のザラ場ベースの史上最高値40472.11円でピークアウトし、現在は調整中との認識です。ここ最近は、25日移動平均線(15日現在38817.62円)の攻防となっています。ですが、今後に関しては、戻りが鈍く、25日移動平均線を明確に割り込んでいくようだと、見切り売りが優勢となり、75日移動平均線(同35834.61円)付近までの押し目形成は十分にあり得るとみています。一方、戻りメドに関しては、3月8日と11日とで空けた窓(39241.28円〜39551.60円)埋めを想定しています。

ところで、3月第1週(4〜8日)の投資部門別株式売買動向では、個人は3274億円買い越しました。昨年12月第1週の4194億円以来3カ月ぶりの高水準でした。個人は現金では513億円売り越しましたが、信用取引では3787億円買い越しました。一方、年金基金などの売買を反映するとされる信託銀行による現物株の売り越し額は6865億円と、9カ月ぶりの規模になりました。信託銀行の売り越しは9週連続です。ここ最近までの日本株の上昇を受けて、リバランス目的の売りが続いたと観測されています。

なお、GPIFの基本ポートフォリオは、国内株式の資産構成割合は25%で、±8%の乖離許容幅が認められていますが、ここ最近までの株高を受け、信託銀行経由の年金基金のリバランス売りは3月末まで続く見通しです。また、3月第1週に大量の信用買いをした個人の手の内も、その後の相場下落で、悪化しているはずです。さらに、日経平均の入れ替えと一部換算係数の引き上げに伴い、3月29日終値段階に向けて5000億円以上の資金捻出売りが、ETF等の日経平均型パッシブ運用ファンドから、日経平均採用銘柄には出ることが見込まれています。

一方、ETFに加え年金などで広く普及しているTOPIX型のパッシブファンドからの配当の再投資による先物買いが、約1.2兆円以上の規模で発生すると観測されています。ただし、年金に関しては、足元の株高で基本ポートフォリオからの乖離が大きいため、あえて配当の再投資による先物買いを見送り、日本株の構成比率の引き下げを図る可能性があることが危惧されます。以上のことから、月内の日本株の需給は、あまりよくないとみておく必要があります。よって、慎重スタンスで相場に臨むことをおすすめします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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