３月１日の日経平均は3日ぶりに大幅反発し、終値は前日比744.63円（1.90％）高の39910.82円でした。2月27日に付けた終値ベースの過去最高値の39239.52円を上回り、3日ぶりに最高値を更新しました。大引け間際の14時50分には39990.23円と、心理的節目の4万円にあと10円程度まで迫る場面がありました。このように、非常に強い相場が続いています。

前日（２月29日）の米国株式市場で、ナスダック総合株価指数とS&P500種株価指数が過去最高値を更新したことが買い材料となりました。ナスダック総合株価指数は反発し、前日比144.18ポイント（0.90％）高の16091.92ポイントで取引を終え、2021年11月以来となる過去最高値を更新しました。また、S&P500種株価指数も反発し、同26.51ポイント（0.52%）高の5096.27ポイントと、２月23日以来ほぼ1週間ぶりに最高値を更新しました。

２月29日の米国株高の主因は、過度なインフレ懸念が和らいだことです。この日発表された1月のPCE物価指数は、エネルギーと食品を除くコアが前年同月比2.8%上昇し、伸び率は前月の2.9%から小幅ながら縮小しました。また、週間の米新規失業保険申請件数が21万5000件と市場予想の21万件を上回り、労働需給の緩和を示しました。物価の落ち着きと労働需給の緩和が確認できたことで、米国株のみならず、米国債も買われ、米10年物国債利回りは前日比0.01％低い4.25％で取引を終えました。

ところで、２月29日のフィラデルフィア半導体株指数（ＳＯＸ）は前日比124.3ポイント（2.70％）高の4726.9ポイントでした。同指数は２月の月間で466.0ポイント（10.94％）も上昇しました。半導体のエヌビディアの好決算を受けて、「半導体＆ＡＩ関連企業」の成長期待が改めて広がった結果、関連銘柄の株価が上昇し、主要な株価指数を力強く押し上げました。そして、日本でも同様の流れとなっています。ちなみに、３月１日の日経平均は744.63円高でした。この日は、東京エレクトロン（8035）が150.85円、ファーストリテイリング（9983）が110.89円、アドバンテスト（6857）が55.68円、信越化学（4063）が32.80円、ソフトバンクグループ（9984）が23.38円と、それぞれ日経平均を押し上げました。これら寄与度上位５社合計で373.60円押し上げました。そして、５社のうち４社が「半導体＆AI」関連でした。

一方、金融市場では、日銀のマイナス金利解除観測が日に日に高まっています。日銀の植田和男総裁は、２月22日の衆院予算委員会で、「2024年以降の物価見通しについて、23年までと同じような右上がりの動きが続くと予想している」とし、「（日本経済は）デフレではなくインフレの状態にある」と述べました。また、賃金が増加する中で物価も緩やかに上昇する「好循環が強まっていくと考えている」とも指摘しました。そして、日銀の高田創審議委員は２月29日、「２％の物価安定の目標実現がようやく見通せる状況になってきた」などと発言しました。このように、日銀は「マイナス金利解除」への地ならし（市場へのプレアナウンス）を着々と行っているのです。

日銀が金融の正常化に向けて動き出せる可能性が高まるなど、日本経済は着実に改善してきています。このため、積極的に市場参加して、日本株への投資で収益獲得を目指すべき局面が継続していると考えています。物色面では、「半導体＆AI関連」と「金融正常化関連（金利上昇メリット関連）」銘柄を狙うことをおすすめします。