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2020年3月19日

相場の見立て・展望(3月19日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
前回まで2回にわたって当コラムで、「“まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ!”を肝に銘じて、相場に臨みましょう。」と繰り返しましたが、今週も心配した通り、相場全体は下値模索の展開になってしまいました。19日の日経平均は、前日比173.72円安の16552.83円と、昨年来安値を連日で更新し、16年11月9日以来3年4カ月ぶりの安値を付けました。

ただし、日米欧の政策当局は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済低迷リスクの高まりに対して、激しく動いています。

まず、FRBは15日、緊急のFOMCを開いて1.0%の大幅利下げに踏み切り、08年の金融危機以来のゼロ金利政策としました。また、米国債などを大量に購入する量的緩和政策も復活させました。17日には、CPを直接買い入れる緊急措置を決めました。そして、18日深夜、MMF向けに、緊急の資金供給に乗り出すと発表しました。また、日銀も、18~19日の予定を前倒しして、16日に金融政策決定会合を開催。そこで、ETFの残高増加ペースを最大で年12兆円(従来は6兆円)に倍増させました。REITの残高増加ペースも最大で年1800億円(従来は900億円)へ倍増させました。CPと社債の買い入れ策の拡充も決めました。さらに、新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペの導入も決めました。

そして、ECBは18日夜(日本時間19日朝)、臨時の理事会を開きました。そこで、新たに7500億ユーロの枠を設け、20年末までに国債や社債などの資産を購入して資金供給することを決めました。このように、各国の中央銀行が、緩和強化策や、企業支援の緊急措置を連発し、完全に危機対応モードになっています。これは長期的に非常にポジティブです。

一方、政治の動きも慌ただしくなっています。13日には、トランプ米大統領は国家非常事態を宣言しました。そのトランプ大統領は過去最大の1兆ドル規模の経済対策の実現を目指しているそうです。また、トランプ氏は18日には朝鮮戦争時の「国防生産法」を発動してマスク増産を指示しました。一方、日本では、与党が、4月にも策定する緊急経済対策について、30兆円超の事業規模とするよう政府と調整に入ったもようです。このような日米両国の財政出動も長期的にポジティブです。

これら金融政策・財政政策は、現在のように、新型コロナの感染拡大ピッチが加速している状況ではなかなか効果がみえていません。ですが、適切な対応がなされているので、いずれ効いてくるはずです。ただし、現在は多くの国が国境を閉ざしたり、入国制限をしたりと、ヒトの移動を制限しています。そして、これが「一体いつ収束」に向かうのかが全くみえていません。これでは、投資家は不安に陥り、なかなか冷静な判断ができないのでしょう。

その一方で、株式、原油価格などが暴力的に下落を続けています。「売るから下がる、下がるから売る」という負のスパイラルが発生しています。結果、多くの投資家に「マージンコール」がかかるなど、まさに「パニック状態」なのです。このため、日米ともに、ハイボラティリティー相場(VIX指数・日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)が高騰している相場)が継続することは覚悟しておきましょう。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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